八部衆・他        

お釈迦様の入涅槃には、五十二衆が参集したとなっていますが、ここでは護法善神の八部衆を主に
絵解きしていきます。





























八部衆 (はちぶしゅう)  または、天竜八部衆
仏法を守護する八神   八つの種族という意味。
仏教が流布する以前の古代インドの鬼神、戦闘神、音楽神、動物神などが、仏教に帰依し、
護法善神となったものである。
十大弟子とともに、釈迦如来の眷属をつとめる。
天衆、龍衆、夜叉衆、乾闥婆衆、阿修羅衆、迦桜羅衆、緊那羅衆、摩ご羅伽衆をいう。


八部衆・天衆
梵天、帝釈天をはじめとする、いわゆる「天部」の神格の総称。
欲界の六天、色界の四禅天、無色界の四空処天のこと。
光明、自然、清浄、自在、最勝の義を表す。
古代インドにおける諸天の総称。天地万物の主宰者。



絵解きは、別ページに天部として掲載。


八部衆・龍衆
「竜」 「竜王」などと称される種族の総称。
蛇を神格化したもので、水中に棲み、雲や雨をもたらすとされる。
また、釈尊の誕生の際、灌水したのも竜王であった。
人面、人形で冠上に龍を表す。


難陀龍王 (なんだりゅうおう)
八大竜王のひとつで、その1番目に数えられる竜王である。
像形は、基本的には人身で、頭の上に九匹の蛇を乗せ、右手に剣を持つものや
両手で宝珠を持つものなどがある。
弟の跋難陀龍王とともに、密教の雨乞いの法会の時に拝まれる善き龍神である。

跋難陀龍王 (ばつなんだりゅうおう)
難陀龍王の弟。
難陀龍王とともに、マガタ国を保護して飢饉なからしめ、釈迦如来降生の時
雨を降らしてこれを灌ぎ、説法の会座に必ず参じ、釈迦仏入滅のあとは
永く仏法を守護した。



左側の、右手に剣を持つのが
難陀龍王。

右側は、弟の跋難陀龍王。













善女龍王 「ぜんにょりゅうおう)
または、善与龍王 (ぜんよりゅうおう)という。
八大竜王の一尊で、仏教やヒンズー教の守護神。
善女とあるが、男神像で表現される場合もあ里、女神とは限らない。
空海が、雨乞いをした時、出現したとの話あり。


両手で、世尊への供物を捧げている姿に
描かれ、衣の裾から龍の尾が出ている
「人面蛇尾」の図が多い。
「好名善与」という仏語があり「良い評判」と訳されている。












執金剛神 (しゅうこんごうじん)

蜜迹金剛神 (みっしゃくこんごうじん)

蜜迹金剛神は、別名「蜜迹力士」ともいう。
金剛杵を持って、仏に近侍し、非法の者があれば金剛杵で破碎し、仏を護衛する。
また、「蜜迹」とは、仏の大法を聞くことを本誓とするのでこの名がある。
ともに、夜叉神の総称。
三門(山門)の、仁王がこの二人である。
下図は、二人の金剛神を示すが、どちらが誰かわからない。


      



速疾鬼 (そくしつき)


別名「捷疾鬼・しょうしつき」
悪鬼といい、人の血肉を食らい、空を飛び、地を行き
捷疾にして畏るべきなり。
暴悪鬼にして、男は極めて醜く、女は甚だ?美なり。
後に、仏教の守護神となった。
ほとんどの涅槃図に、角を生やし、腰に皮をまとった
鬼の姿で出ている。










阿修羅 (あしゅら)


略して修羅という。
闘戦を事とする鬼類。

周身赤色にして甲を被り、髪冠に
して、赤髪なり。右手は、拳を
竪てて、棒を持し、左手は拳にして
腰に叉す。・・・

三面六臂 (さんめんろくひ)
・・・三つの顔に六本の腕

絵としては、右に太陽の赤円左に
月の白円がほとんどなのですが
勝川寺の絵は逆になっています。
三面ですから、裏から見他とすれば
                                    理解も出来るのですが?







迦樓羅 (かるら)


迦留羅とも書く。
両羽翼を広げると三百三十万里あり、羽は金色。
仏の眷属の天竜八部衆の一つ。
密教では、梵天、大自在天が衆生救済のために
鳥の姿で出現するという。
鳥の冠をかぶる特異な姿で、判別しやすい。











緊那羅 (きんなら)


八部衆の一人。
よく歌をうたい、歌舞をもって帝釈天に仕える。
ヒマラヤ山中に住むとされ、人とも言えず、
人でないともいえないという意味から、「人非人」と
訳される。
涅槃図では、象の冠をつけている。









摩?羅 (まごら)


摩?羅伽ともいう。
「楽神の類なり。人身にして、蛇首なり」
「地龍という。無足腹行の神なり」ともいう。
涅槃図では、頭に蛇を冠っており、見つけやすい。
八部衆の一つ。



















乾闥婆 (けんだつば)


香を食べるとされ、神々の酒ソーマの守り神。
仏教では、帝釈天の眷属の音楽神とされる。

三十三間堂の乾闥婆
上半身裸形、右手は肩の辺に上げ、輪宝を捧げもつ。
左手は胸の辺に上げる。
しかし、この涅槃図とは違う感じが・・・

ある涅槃図の乾闥婆は、一面六臂で
宝輪、経本、羂索、五鈷杵等となっており
勝川寺の涅槃図と一致する