舞台       

お釈迦様は、二月十五日に、インドのクシナガラというところで、涅槃に入られました。
夜空には、十五夜の満月が輝き、近くには、バツダイガという川があり
沙羅双樹4組8本の木の下で亡くなられました。



涅槃図に描かれた涅槃の
舞台。


クシナガラ

跋提河(バツダイガ)

沙羅双樹

二月の満月

錦袋

五十二衆












クシナガラ
クシナガラの地が涅槃の地に選ばれた理由。
ここは、昔大きな都であり、お釈迦様は、前世において六度、大善見という
名の王としてこの地を治めていた。
その因縁により、この地に滅度する・・・
























跋提河(バツダイガ)
跋提河(バツダイガ)は、天竺(インド)の大河である。
何ゆえに河のそばで、入涅槃されるのかの問いに対し、人間の命は水の流れのように、
少しも留まることなく、昼も夜も静止することなく縮まりうせてゆくことを
この川の流れで知らしめるためである。



沙羅双樹 (さらそうじゅ)
四枯四栄 (しこしえい)

涅槃のため、世尊が4組8本の沙羅双樹の中を選ばれたのは、沙羅樹にて仏の
自在神力を示すがためである。すなわち、8本の沙羅樹のうち、4本は説法が終わると
たちまちに枯れ、他の4本は青々と茂る中、満開の花が・・・
これを、四枯四栄という。
世尊の色身(肉体)は、涅槃に入りたまえども(四枯),説かれし仏法は後世に残りて
栄える(四栄)ことを言う。




二月の満月
二月は、陽春で万物が成長し、
百獣が生み育てられる時であり、
そのため人々は、世界は常住で
不滅であるとみなすところの
常見に最も陥りやすいときである。
この時季こそ、むしろ万物は無常
であり、如来のみ常住なることを
説くのに最も適すると考えて
二月を選んだのである。


十五日の月は、満々として少しも
欠けたことがないように仏陀も
大涅槃に入って少しの欠減もない。
この意味を表すために、十五日を
入滅の日に選んだのである。






錦袋
沙羅樹にかかる錦袋。
「仏母経」によれば、鉢盂錫杖掛基木上とあり
お釈迦様が使われていた衣鉢と杖とされる。

なお、錦袋は、戦前までは薬袋と思われていた。















参集した五十二衆
世尊の大光明で参集。
世尊は、二月十五日の入涅槃にあたり、大光明を放たれたが、その光の中に音声があって
如来の入涅槃を告げ、大衆を召し給うた。
人々は、驚き、愁い、悲しみ、互いに最後の供養をなそうと世尊のもとへ参集した。
これが五十二衆である。
涅槃経・序品には、無限大に近い数の比丘衆、比丘尼衆、菩薩衆、国王・大臣、夜叉等
五十二類が集まったとされる。
また、動物も無限大に近い数の五十二類が集まったとされた。