父の画集


はじめに

 亡び行く民家を画き続け、その数は
優に100を越えています。
 その中から選び画集にまとめた
ものです。

鷲田重郎画歴

 1.昭和29年第10回日展に初入選、
  以後毎年出品し24回入選
 2.昭和30年より毎年光風会展に出品
 3.昭和46年教職を定年退職、
  画業に専念
 4.昭和46年光風会会員
 5.昭和51年日展会友
 6.平成3年画集発行
 7.平成13年6月没(88才)

以下に画集より数点を抜粋した
 

1.制札場のあった門(岡山県 西粟倉村)


 草深い田舎に藁葺きの本宅、
そして不釣合な豪華な門扉のある
長屋門であるが、苔むした屋根、
寂れた羽目板などに心ひかれた。
すえられた石には制札場の跡と
彫られていた。
 P.100号 日展入選
 アートマインド 1990.1 掲載

 岡山県津山市郷土博物館 蔵  

2.百済家(岡山県津山市)


 吹屋町という町名となって残っている町。
 昔鋳物を鋳造していた町家。
 県内では珍しい折り上げ戸が
残っている。
 柱には駒つなぎの環もそのままと
なっており、出格子形式の切子格子なども
それぞれ美しい。
 P.50号
 既に折り上戸は取り払われ、
駐車場の入り口となっていた。

 

3.裏街の午後(岡山県津山市)


 どぶ溝川の上に建てられたバラック建ての  
0番地の家並。
 病気のため入院した病院の二階から
ひまにまかせてじっくり描きこんだ。
 旧師赤堀佐兵画伯に、はじめて
「絵の具がよく ついている」とほめていただいた。
 絵の具がよくついているとは
技術的にどういうことか わからなかった。
 F50号 日展入選

 岡山県津山市郷土博物館 蔵  
 

4.旅籠(愛知県豊川市)


 東海道五十三次赤坂宿に
昔の姿をとどめた旅籠の 大橋屋を
描いた。二階の格子組が
余り見かけぬ面白い格子である。
広々とした板場も昔のにぎわいを
偲ばせる。(今は前面には引戸が
取り付けられている)
 P.100号

 愛知県豊川市役所 蔵  

4.宿場の家(愛知県豊川市)


 東海道五十三次の御油宿で唯一軒
残っていた人見格子のある宿場の家。
 戸口の紋の描かれた障子も珍しいが
すでに、この障子も犬矢来も
とりはらわれている。
 P.100号

 岡山県津山市勝北中学校 蔵  

5.飛騨高山の町家(岐阜県)


 柿葺(?)屋根、板葺の庇、
軒下の太格子(虫籠窓)関西では
見かけぬ民家造である。
 格子と舞良戸のような障子(?)、
そして大戸。吹きぬけの
土間の木組、毎日水布巾で
みがく造り戸棚が素漆塗のように
光っていた。
 P.100号
 現代絵画集成 1984 掲載

 岡山県津山市郷土博物館 蔵  
 

6.北京の街路


 街に暮らす人々をさりげなくとらえ
歴史のある佇いの雰囲気があり
描き方は日本画的といってもいい
のではないでしょうか。
写真から一歩踏み込んで北京の
印象を描かれているのがいいと思う。
 人物の配置にも苦心のあとが
うかがえ枯淡といっていい味わいと
なっている。
 (寺元敏胤評)
 P.80号
 アートマインド 1988.7 掲載  

 

7.韓国の農家


 韓国で最初にすばらしいおどろきで
見た 藁葺の民家。
 やさしい屋根の線、窓のように
見える障子、温突の焚口、戸口、
漬物の台。  鶏が数羽遊んでいる
なつかしい風景だ。
 P.50号

 岡山県津山市郷土博物館 蔵

おわりに

 
  1. 日展入選作他の主要作品28点、岡山県津山市郷土博物館に寄贈しました。
  2. 画集 現在、約20部持っています。もし、ご希望があれば、差し上げます。
      希望されます方は、 Washidaまで、
  3. 尚、一見後感想などお寄せいただければ、幸いです。

Topページへ戻る